「若き日に…」 若き日に、やりたいこと、欲しいものは色々あれど… やる暇と、手に入れるお金があまりにも足りない。 年を経る毎に、一日の時間は短くなっていき、 物事をする暇が足りなくなっていく… よしんば、物事をする暇が出来たとしても、 その物事は、とっくに時期を逸しているか、 またはその物事をするには年を経り過ぎてしまっている。 年をとる毎に、稼ぎから取られる物が多くなっていき、 欲しい物が益々手に入らなくなっていく… よしんば、手に入れる事が出来るお金が貯まっても、 欲しいものは、とっくに古ぼけてしまって無くなっているか、 新しくなって、値段が高くなってしまっている。 人並みの運、人並みの体を持ちながら、それ以上を望み、 自分はなんて不幸な人間なんだと嘆き悲しむ日々。 自分にない物を持った人を羨み、時には妬む。 そこに憧れや努力はいっさいない。 嗚呼自分とはいったいなんだろうと思う。 物が豊かに手に入るにつれ、その分失っていく心の豊かさ。 人と人との温かきふれあいが薄れ、 人が人を追い落とすことに夢中になっている日々に疲れ、 嗚呼人間とはなんて浅ましく不幸な生き物と自分勝手に思い込み、 生きる気もなく、されど死ぬ勇気も無く、日々流されて行く我が身を呪う。 藤次郎